研究内容紹介

研究室で研究している研究内容の紹介です。簡単に書いてあります。細かい内容については随時更新いたします。

コグニティブ無線に関する研究

近年、無線技術の発展に伴う無線システムの急激な増加により、周波数帯域の枯渇状態が問題視されています。ですが、実際に割り当てられた周波数帯域の利用率は100%ではなく、図1(a),(b)のように時間的・空間的に利用されていない周波数帯域が存在します。そこで、有効活用されていない周波数帯域の活用方法として、コグニティブ無線が注目されています。コグニティブ無線では、周囲の無線環境を認識し、自律的にパラメータを変更することで、有効活用されていない周波数帯域を二次利用することが可能となります。本研究室では、コグニティブ無線のための無線環境認識技術や二次利用時のパラメータ設定などの研究を積極的に行っています。

有効活用されていない周波数帯域の例

無線環境データベース構築に関する研究

コグニティブ無線では、周囲の無線環境を正確に認識する必要があります。無線環境認識技術の一つとして、無線環境データベースを用いる方法があります。このデータベースには、無線環境の様々なパラメータが蓄積されており、コグニティブ無線使用者はデータベースにアクセスすることで、無線環境を認識することが可能となります。また、データベース構築の方法として、無線センシングを用いる方法があります。無線センシングでは、周囲の電波環境の状況の把握や電波環境のパラメータ推定が可能となります。本研究では、無線センシングによる情報の取得方法や電波環境データベースの構築アルゴリズムなどの研究をしています。
図を用いて無線センシングからコグニティブ無線までの流れの一例を説明します。
① センサの無線センシングにより周囲の電波環境の把握
② ①の結果と学習等を用いて電波環境データベースの構築
③ ②で構築した電波環境データベースを用いてコグニティブ無線を使用

無線センシングからコグニティブ無線までの流れの例

参考資料

  1. Rei Hasegawa, Keita Katagiri, Koya Sato, and Takeo Fujii, “Low storage, but highly accurate measurement-based spectrum database via mesh clustering,” IEICE Trans. Commun, vol.E101-B, no.10, pp.-, Oct. 2018 (in press).
  2. Koya Sato and Takeo Fujii, “Kriging-based interference power constraint: integrated design of the radio environment map and transmission power,” IEEE Trans. Cogn. Commun. Netw., vol.3, no.1, pp.13-25, Mar. 2017. (available here)

無線アドホックネットワークに関する研究

無線アドホックネットワークは端末同士が自律的にネットワークを構築する通信システムです。アドホックネットワークでは特に通信範囲外にある端末に対しても途中に存在する端末を中継して送信することで省電力で通信範囲を広くすることができます(下図参照)。
しかし、課題として複数の端末をどのように連携させるのか、どのように中継ルートを構築するのか、各端末がどのような役割を担うのかなどアドホックネットワーク特有な問題がたくさんあります。
そこで、本研究室ではこれらの複数端末連携技術について研究しています。また、現在は複数周波数に対応したアドホックネットワークについても研究を行っています。

無線ネットワークプロトコルに関する研究

無線システムを構築するためには送信する信号の物理的な振る舞いだけでなく、どのタイミングでどのようなパケットを送信するのかのルールを定義する必要があります。その送信手順のルールをプロトコルと言います。無線におけるプロトコルは信号の性質、無線伝搬など無線通信特有の性質とインターネットや電話など利用するアプリケーションの性質双方に適応させた動作をさせる必要があります。本研究室では無線資源の有効活用とアプリケーションへの適応性を考えた無線プロトコルの研究を行っています。

参考資料

  1. Koji Kakinuma, Mai Ohta, Osamu Takyu, Takeo Fujii, “Fusion center controlled MAC protocol for physical wireless parameter conversion sensor networks (PHY-C SN),” IEICE Trans. on Commun, vol.E100-B, no.7, pp.1105-1114, July, 2017.(DOI: 10.1587/transcom.2016SCP0008)
  2. Tomokazu Moriyama, Taiki Nakayama, Takeo Fujii, “Intermittent interval feedback design for multi-stage wireless sensor networks,” Mobile Networks and Applications, April 2017. (DOI: 10.1007/s11036-017-0859-0)

ITSに関する研究

ITS(Intelligent Transportation System)は交通システムを通信技術を利用して高度化する取り組みのことです。特に自動車の円滑な通行と事故防止への取り組みは急務となっており、その対策としてITSが期待されています。ITSでは特に無線通信の担う役割が大きく、自律的に走行する車両同士が互いに連携させることが可能となります。本研究室ではこのITSにおいて車両同士および通信基地局が相互連携し、協力することで連携通信可能なエリアの拡大と信頼性の向上を目指す試みを行っています。

参考資料

  1. Keita Katagiri, Koya Sato, and Takeo Fujii, “Crowdsourcing-assisted Radio Environment Database for V2V Communication, ” Sensors, vol.18, no.4, 1183, 2018.
    MDPI (Open Access)
  2. Cong-Hoang Diem, Koya Sato, Takeo Fujii, “Cooperative distributed STBC transmission scheme for multi-hop V2V communications,” IEICE Trans. on Fundamentals, vol.E99-A, no.1, pp.252-262, Jan. 2016.

無線Software Defined Networkに関する研究

TBA

エッジコンピューティングに関する研究

TBA

無線センシングに関する研究

無線センシング技術は周囲の無線環境が今どのような状況かを把握する技術です。この技術はコグニティブ無線で適応的に通信システムを切り替える際にも必要となる技術です。本研究室では無線センシングに対して無線の物理的な環境認識にとどまらず周囲のネットワーク、端末の電力需要、複数の周波数帯域の様子など多岐にわたる情報の把握を行うことを目指し、その情報取得方法、ネットワークでの共有方法、端末での活用方法などを研究しています。